日本画について

日本画

日本画というジャンルに明確な定義は無いそうで、海外から美術品(もちろん絵画も含む)やそれらの技術が流入してくる時代(具体的にいつだろう?)に、「断じて海外のものではない」くらいの意味を込めて、日本画とよんでいたんだとか(どっかの美術館の説明で見た気がする)。

わざわざ日本画なんてよんでアイデンティティの確立?に躍起にならなくても、岩絵具の独特な色彩とか、屏風や掛け軸などといった作品形態に見られるように、他の美術品には無い特徴があって、ジャンルとしては十分魅力的だと思う。

岩絵具

岩絵具で絵を描くためには、植物や翡翠とか珊瑚、あるいはなんとか銅とかなんとか石みたいな鉱石を削って色付きの粉?のような状態で水に溶かして使い、定着には膠を使うんだとか(やったことがないので定着という工程がよくわからない)。よく、岩絵の具とは?みたいな説明コーナーにはそんな感じで色とりどりの粉が展示されていて、絵よりも岩絵の具に目を惹かれてしまう。膠は、割り箸というかスルメというか妙な植物?なので見ても面白くはない。接着剤。

岩絵具では特に青系の色が貴重らしく、高価だったんだとか。時代が進んで色付きガラスを砕いて使う技法が使われるようになると、色のバリエーションが増え、人工岩絵具といって、天然ものと区別して使われていたとか。まず間違いなく天然ものは貴重だったと想像できるし、「人工のものを使うなんて不届きな、けしからん」といういかにもな画家さんとかいたんだろうなぁと想像もできる。

白系の色は貝殻を砕いて使っていたらしいが、混色して色を薄めるためではなく、主に下地に使っていたらしい。薄い色にしたいときは、色付きの粉の粒径で濃淡を調節することができるらしい。雪とか雲とか描くのにも使っていた?

形態・他

屏風に描かれた大きな絵は、四角い額縁の絵には無いダイナミックさがあってすばらしい。板と板を紙製(確か和紙)の蝶番のようなものでつなぎ合わせる技術がポイントで、それによって大きな屏風でも折り目継ぎ目の絵が崩れてしまわないようになっている。基本的に、家の中の仕切りや壁のにぎやかしに使われるものらしく、上品な岩絵の具独特な色もあって、落ち着いた存在感がある。

掛け軸は縦長なので、絵の題材が人や植物など縦長なものが多い気がする。あと橋や川のような、何かを挟んだ構図の風景とか。シンプルというか端的というか、そういう感じに対象が表現されているのか、地味~な感じだけどハマるときはとことんハマって絵の前から動きたくなくなるのが掛け軸。

掛け軸の仲間というか、絵巻物になっているタイプのものも、特別な存在感があってよい。だいたいガラスケースに入っていて、巻物の途中までしか見れないのが残念。

現代的な日本画になると、屏風や掛け軸はあんまりなくて、さらに一見では画材が岩絵の具なのか何かよくわからないが、やはり山紫水明花鳥風月な感じの作品が多いように感じる。

日本画は、他のジャンルに無い独特さの裏に技術的な理由がいろいろとあるので、それを知ることの楽しみの一つだ。きっと他の絵のジャンルにもいろいろと薀蓄あるように思うのだが、日本画ほど説明がされていないように思う。

展示場所

都内では郷さくら美術館、山種美術館はいつも日本画があるので、日本画分を補給したいときは重宝する。地方の美術館ではその土地の縁の画家の絵はほぼ間違いなく所蔵されているので、旅行のついで(むしろ主目的?)で訪れるのも良さそう。あと、日本画の岩絵の具とは?みたいな説明コーナーは日本画系の特別展とか博物館でも見かける気がするし、図書館の美術系の本棚で勉強してから鑑賞に行くのも悪くない。

お気に入り

紅梅・白梅 速水御舟 作 (紅梅と白梅で対になっている掛け軸)
月 高島野十郎 作 
百花 田能村直入 作 (巻物なので全部見れないのが残念)