静物画と写実画

静物画

静物画は、果物や花を描いた絵画のこと(雑?)。
果物であれば瑞々しさ、花であれば美しさを絵に描くことで、いずれ失われてしまうそういった良さを、絵に描いて永遠を閉じ込めるものだ、というのをどこかの説明で見た記憶があります。

静物画で描かれるもの
  • 花(バラ、椿、そのほかいろいろ)
  • 果物(桃、りんご、梨、葡萄、どれもおいしそう)
  • お酒(ボトルに入っているワインが多い気がする)
  • 机(↑のものが置かれている)
  • 布(何故かある)

基本的に、おいしそうな桃やりんごは本当に瑞々しくておいしそうなんで観てるとおなかがへります。
当たり前ですが、すべて止まっているものです。基本的に動きは無いのですが……。

描き手

画家によっては、表現の工夫によって(果物の配置や机の角度などを計算して)調和感や不安定さを自由自在に表現しているらしいです。私のような素人は、見ているうちその術中にハマるので、その通りの印象になったりならなかったりします。
不思議な感じの絵で有名なダリ氏に至っては、「素早く動いている静物」などという、静物とは?と考え直してしまうようなタイトルの静物画を残しています。
2016年のダリ展で実際に見た感想としては、確かにダイナミックな静物で、浮かんでいるナイフとかビリヤードのごとく空中で衝突しているリンゴとか、むしろ動いてない物が無い、静物とは??という印象でした。

静物画のお気に入り

絵から感じる印象だけでなく輪郭の様子や光の当たり方や陰影の表現など、とにかく癖が出るので、同じ桃でも、うまそうな桃から綺麗な桃、エロい桃、桃とは??となる絵まで、描き手によって千差万別です。
静物画で有名な画家というとセザンヌルノワールでしょう。たぶん。個人的には、アンリ・ル・シダネルという画家の静物画が好きです。薄くもやのかかったような淡い色使いがとても神秘的なんですが、その色使いでの静物画は素敵です。ちなみに、かの有名なピカソも静物というタイトルの静物画?を残していますが、きわめて綿密な幾何学的な直線と曲線で構成されていたため私のような素人にはまず何が描かれているかわかりませんでしたが、静物画に極端に画家の個性が現れている意味でお気に入りです。

写実画

写実画は、一言でいえば写真のような絵画のことです。写実画専門の美術館として千葉県のホキ美術館が有名です。絵は確かに写真のようにリアルですごいんですが、どことなく、フィクションというか、人が手で描いたものであるという性質が見え隠れして、写実画でしか味わえない独特の良さがあります。

写実画で描かれるもの
  • 人物(肖像、裸婦)
  • 景色
  • 生物・果物
  • 他(画家によって千差万別)

裸婦絵はとても美しいので好きですが、一方でおじさんのリアルな絵はなんというか、いろんな意味で圧倒されます。裸婦でも、特に妊婦さんの絵とかは神々しさがあります。裸婦というとエロくはないのか?という思いがめぐりますが、リアルさと不思議な手描き感によって、非現実な感覚が先行し、架空の世界での出来事のように見えるのですが、やはりエロい美しいです。

風景の写実画は、写真ほどのリアルさは無いのですが、普通の風景画に無い精密さによって、描かれている建物や植物の存在感が圧倒的です。例えば水辺に面する聖堂の絵なら、水面に移った建物の細部までリアルに描かれていたりします。おそらくですが、写真ではできない、本物以上に本物らしく描く(強調する)技術によって、臨場感というか、風景の感じが強く伝わってきます。

写実画と静物画

写実画での静物もあるのですが、非常に精密に描かれていますので、本当に果物の写真のようなのに、さらに強調して瑞々しさがやわらかさが描かれてているため、パンの写実の静物画を見てパンが食べたくなったり、レモンの静物によって唾液が出てきたりと、見る人への影響力が尋常じゃないです。

個人的には静物画は見ていて落ち着くので好きなんですが、写実画も、人物や風景などふつうの静物画ではあまり描かれないものを止めて本物以上に見せるという意味で好きです。

展示場所

静物画はどこでも何かしらあるように思います(いい加減)。
写実画はホキ美術館ですが、日本人の作品だけのようです(海外の人のは未確認)。